過去に文具の売り場で働いていた頃のお話..
ある日、一組の夫婦が孫のために、ということで地球儀を買いに来ました。
かわいい孫に買ってあげるプレゼントなので、ちょっと頑張って立派な(高い)地球儀を探しに来たようです。
お客さんが欲しがるものを紹介するのが販売員の仕事のはずなのですが、その日は結果的に、私は「安い」地球儀をすすめ、買ってもらうことになりました。
当初予定いただいていた高い地球儀を買ってもらった方が、売上も増え、私にもメリットがあるにも関わらずです。
なぜあえて安い地球儀をおすすめすることになったのか、その理由はだいたい次の通りだったと思う。
- お客さんの本当のニーズは、高級品ではないと判断したから
- 気まぐれ。
目次
なんで孫に地球儀を買ってあげたいのか?その目的は?
「気まぐれ」… つまり、その夫婦に心を動かされてしまい、私が良心的な販売員になってしまったのです。
孫に地球儀を買ってあげたい、と思って来店したその夫婦は、プレゼントした地球儀を「きちんと使って欲しい。」と願っている様子が分かりました。
地球儀がまるで「単なる飾り」であるかのような考えは感じられませんでした。
- 地図音痴になって欲しくない。
- 小さい頃から世界に興味を持って欲しい。
可愛がっている孫の成長のために、少しでも役立ちたい、そんな雰囲気が鈍感人間の私にでも十分に伝わったのです。
夫婦の話を聞いているうちに、私はこのお客さまが考えている「ニーズ」は、立派な地球儀ではなく、「学習に使いやすい」地球儀だと判断したのです。
子供が「使える」地球儀は高級品だとは限らない
もともと、その夫婦がねらっていた高級な地球儀は、台座が木製で重量感があり、全体的にも重みが感じられる立派なものでした。球体は30cmぐらいで大きいサイズの部類に入りました。価格は3万円オーバー。
もし部屋に飾れば、間違いなくカッコイイ品物です。
お客さんの気持ちを否定せず、それはそれで良いと肯定したうえで、私は別のもう一つの地球儀を提案したのです。価格が1/5ほどの安い地球儀を。
軽い地球儀が子供には使いやすい。
子供に地球儀を「使って」もらうには、軽さは重要です。軽さのメリットは次のとおり。
- 見やすい
- 持ち運びしやすい
見やすい
地球儀をさわった事がない人にはイメージが難しいのですが、地球儀とは丸い球体なので、あらゆる角度から見る必要があります。
本などのように、一方向から見るだけではありません。
360°あらゆる角度から眺めることになります。
地図も、日本の周辺の地図だけではなく、持ち上げて球体の下から眺めることもあります。
考えもしなかった角度から地球儀を眺めることで、新しい発見があるのです。
そんな新しい発見が、好奇心へとつながります。それが地球儀の魅力であり、また目的でもあります。
あらゆる角度から自由に地球儀を眺めるためには、地球儀を持ち上げて使う必要があり、そのために地球儀は軽い方が「見やすい」のです。
持ち運びしやすい
地球儀は持ち運びができなければ、「使う」のは難しい。
見やすい地球儀はある程度「大きい」ので、つねに机の上に置きっぱなしにするのは難しくなります。
筆者が考える見やすい地球儀の大きさは球径が25cm以上だと考えています。
この25cmサイズも、実は結構大きく、机の上に置くのは正直邪魔に感じます。
机の上には教科書やノートなども置く必要があるので、地球儀の常設が許されるような環境、とても大きな机をつかっている子供は少ないのではないでしょうか。
つまり、「地球儀は使わないときは、他の場所に置く必要がある。」ということです。ここ重要です!
ひんぱんな移動が必要な地球儀がもし重たければ、面倒になり、地球儀を使う頻度は少なくなるでしょう。
また、地球儀を見るチャンスは、机の上だけとは限りません。
例えば、テレビを見ている最中に外国の名前が出てきた時に、その位置を確認するために地球儀を使いたくなることがあります。
気軽に地球儀を取りに行き、膝の上にのせて地球儀を眺める。持ち運びが便利な地球儀だからこそ、そんな事ができるのです。
軽くて使いやすい地球儀はこれ
今回のお話で、結果的に夫婦に買ってもらった地球儀は次のような条件のものでした。
- 軽くて使いやすい
- 持ち運びがしやすい
- しっかりとしたメーカーの地球儀
高級地球儀ではありませんが、このような条件で地球儀を選んでいる人には、次の地球儀を紹介します。
上は地勢図タイプです。行政図タイプがよければ下の地球儀も良いでしょう。
この地球儀は、イタリア製の地球儀ですが、メーカーは日本のオルビイスとなっています。
オルビイスは1965年から地球儀を販売しており、それなりに老舗です。
このイタリア製の地球儀は地図も良い。地勢図タイプの地図はGISと呼ばれている新しい技術で作られており、見ていてかっこ良い。
この地球儀は本来はヨーロッパで多く販売されているもので、ヨーロッパの消費者の眼鏡にかなうものが作られているのでしょう。日本で販売されているこれらの地球儀は、日本のオルビイスの製品となっていますが、実際はこのヨーロッパの地球儀メーカーの実力で作られた高品質な地球儀だと言えます。
地球儀に使われる地図には品質の良いものから悪いものとあり、多くの人には気付かないのですが、まれにアジア製の地球儀のなかに、とんでもない地図の地球儀があります。地球儀を買う場合は、こういったものは避けて欲しいですね。
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